教員研修会・山岸充氏による講義 – 福井県立鯖江高等学校  

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2021.07.08

教員研修会・山岸充氏による講義

~タイムリーさばえ~ 鯖江の今と可能性の概論

令和3年度 第6号

 令和3年7月1日(木),教員研修会が行われました。先ず教員が一堂に会し,指導力向上のための活動内容を確認し,グループごとに打ち合わせを行いました。教員の指導力向上を目的とし,授業の公開や外部講師による研修会の開催など方向性は昨年度から継続し,より成果を見出せる授業の創造に教員全員が取り組みます。

 グループごとに相互の授業公開等を確認した後,株式会社わどう 代表取締役 山岸充氏をお招きし,教員研修講義を行いました。

 山岸氏は1990年東京生まれ,5年前に鯖江にIターン移住をし,今秋には第一子誕生の予定で教育は専らの関心事。バスケットボールなどの地域スポーツ活動も盛んに行っており,鯖江高校が今後,地域鯖江とどう連携を取っていくか?生徒が何をどういうところで学ぶか?を軸に,鯖江の今と可能性の概論をテーマに講義していただきました。

地域づくりのまち鯖江

 全国的にも鯖江は地域づくりで有名で,山岸氏が一番最初に鯖江に遊びに来た時,市役所や地元めがね企業,まちづくり団体など,鯖江の雰囲気がとても面白いと感じ,鯖江旅行に来た帰りに「ここに移住しよう!」決断したそうです。

 鯖江の名前の由来から,継体天皇時代に越前漆器が盛んになった歴史や,幕藩体制の下鯖江藩のほか小浜藩など色んな藩が入り乱れていた珍しい地域だったため多様性が有り,色んな人が色んなことをする許容力が高いという鯖江の今の気質に繋がっていると感じている時代の流れなど,歴史から紐解く現在の鯖江を先ず講話いただきました。

 鯖江の転換期となったのが1995年(平成7年)の世界体操大会。鯖江高校は体操の強豪校としても有名ですが,世界体操大会はそれまでヨーロッパ中心でアジアはおろか日本で開催されることもなく,当時人口6万人の小さな町・鯖江で開催されることとなり世界から注目を浴びました。物理的にもハードで行政だけでは追いつかず,市民約3万人がボランティアとして花いっぱい運動や駐車場整理・会場清掃など,大会を周辺からバックアップする活動に参加し,市民総出で成功させ,これが今の鯖江の雰囲気と流れにつながっているということでした。そして2010年,まちづくりの主役は行政ではなく市民だと行政が自ら宣言した条令「鯖江市民主役条例」が全国でも先駆けて施行されました。

多様性 × まちへの主体性

 諸藩が入り乱れていた鯖江は,他者に対しての受容力が高い多様性,そしてまちへの主体性が非常に高く,山岸氏ご自身が自分を含めた外から来る人間が言い表せない不思議な雰囲気を感じる町だと語ってくださいました。他者をスムーズに受け入れ,他者の主体性に対して応援するムードがあるため,移住者が多いのだと感じるとのことです。地域で生まれ育ちこれが当たり前だと思っていた私たちにとても刺激的で,誇らしい気持ちにさせてもらったと同時に,益々住みよいまちに自分たちがしていくと思い定め,そして授業づくりにおいての主役は生徒であることを改めて感じました。

 地場産業から新産業,文化・芸能・農業・教育・・・,多岐にわたってアンテナを張り巡らせている山岸氏から,プロジェクトや課題探究の材料となり得る「鯖江のおもしろいヒト!コト!」を幅広くご紹介いただき,最後に,統一されたまちづくり計画をもつことと,今までの教育に加え社会へのアプローチがいかにできる人材を育てるか,この「都市計画」と「創造教育」が鯖江の課題であり,まちとひとの未来につながるということでした。

 山岸氏の鯖江・福井に対する大きな愛を感じ,今後の授業展開への多くのヒントがちりばめられた講義を,鯖江の魅力化・活性化に役立てていきたいと教員一同気持ちを新たにしました。

           
               
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