「高分子」は身近な素材 ~日華化学の技術に学ぶ~ – 福井県立鯖江高等学校  

お知らせ詳細

2021.11.22

「高分子」は身近な素材 ~日華化学の技術に学ぶ~

3年 化学 特別授業

令和3年度 第13号

 令和3年11月17日(水),3年生の化学の授業で「高分子」に関する特別授業を行いました。講師として日華化学株式会社より界面科学研究所フェローの松田光夫氏をお招きし,これから授業で扱う「高分子」について興味をもって学習していけるように,高分子にはどのような特徴があり,どのように活用され製品化されているのかなど,実際に日華化学で取り組んでいることについて講義をしていただきました。

繊維加工と高分子

 日華化学では,有機合成・高分子・界面制御技術を使って,さまざまな製品開発を行っており,今回の特別授業では,これから学ぶ「高分子」の内容に合わせて,繊維加工について,その特徴や製品などについて説明をしていただきました。すでに学習した「親水基」と「疎水基」のはたらきを復習し,それらの配列を変えることで,「湿潤・浸水」と「撥水」や,「起泡」と「消泡」のように逆の効果を発生させたり,「洗浄」や「乳化」,「潤滑」,「抗菌」など目的や用途に応じて様々なはたらきのものを設計して作り出すことができることを教えていただきました。また「モノマー」と「ポリマー」を人の形の図で表して分かりやすく解説して,様々な高分子の構造について基本的なことを教えていただきました。現在,日華化学で開発している繊維加工について,これらの仕組みがどのように使われているのか,それによりどのような効果があるのかを,具体的に説明していただき,授業で学習する「化学」の内容が,身近なものに応用され,実際に社会や人々の生活に役に立っていることに気付くことができました。「シリコーン系柔軟剤」では疎水基を外側に向けて配列することにより,疎水基同士の滑りあいにより摩擦係数が低減し,柔軟な感触を与えることできることや,「綿用染料固着剤」では染料とフィックス剤がイオン結合によりしっかりと固着することなどを,分かりやすい図を使って解説していただきました。

つくる責任 つかう責任

製品開発の一方,高分子の課題についても説明していただきました。高分子化合物であるプラスチックは自然には分解されず,海洋プラスチックごみ問題など,世界規模で問題となっています。SDGsの目標でもある「つくる責任 つかう責任」を考え,日華化学でも環境に配慮した研究や製品開発にも積極的に取り組んでいることを説明していただきました。そしてサスティナブルな世界を実現する手段として「電気を通す高分子」や「生分解性の高分子」,「命を救う高分子」の開発など,いくつかの例を挙げて高分子の未来について提言をしていただきました。

生徒から質問

 生徒から「部活動で使っているサポーターが蒸れて不快なのですが」という質問が出されました。それに対してサポーターの素材と蒸れる原因について説明していただき,水は通さないが水蒸気は通す素材があるので,今後はサポーターなどにも応用できるかもしれないと教えていただきました。また蒸れることでにおいが発生したりするが,菌をコントロールする素材も開発されているので,その技術も応用できるかもしれないと付け加えて答えていただきました。

           
               
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