理系分野の研究方法を学ぶ – 福井県立鯖江高等学校  

お知らせ詳細

2023.05.02

理系分野の研究方法を学ぶ

仁愛大学教員による特別講義①
 ~探究科2年生 探究の時間~
地域協働ニュース第3号

 探究科2年生では,本格的な探究活動のスタートとして,鯖江高校と連携している仁愛大学から今年も講師をお招きして,探究活動の方法について特別講義を実施しました。今回はその第1弾として4月27日(木),西出和彦教授より,「理系分野の研究方法 および データの扱い方について」というテーマで,生物学が専門で探究コーディネーターをされている立場から,具体的な研究方法を指導していただきました。

根拠に基づいて,問いに答える

 まず,自然科学分野での研究の構造について説明されました。「研究とは,問に答えること」であり,根拠に基づいて問いに答えることが重要です。調べ学習は,すでに分かっていること調べるだけですが,研究は,まだ誰も調べていないことに対して自分で問いを立てその根拠を示して,論理的に答えることです。そのために,次のような過程で研究を進めていきます。
「問いを立てる」→「調べる」 →「結果を整理して,改めて問を立てる」→「数値化して関係性を明らかにする」
このとき重要なことは,批判的な視点で考えることあり,より正しい判断をする必要があります。そして得られた結果が証拠となり,論理的に問いに答えることができ,人を説得することができるので,できるだけ多くの結果を集める必要があります。

因果関係を考える

 次に,オカダンゴムシに連続するT字路迷路を歩かせると,左右交互にまがって進む,交替性転向反応が生じるメカニズムについて,実験を交えて説明されました。このメカニズムはまだ因果関係が解明されていません。そのため,左右の足にかかる負荷の影響や,触覚・視覚によるものなど,様々な仮説がありますが,それらをいろいろな方法で検証し解明をしようとしています。実際に生徒がダンゴムシの行動を観察することで,すべてのダンゴムシが同じように交替性転向反応が起こるとは限らないことなどがわかり,このような場合のデータの扱い方をどうすればよいかを説明されました。
仮説とは予想と違い,実験により因果関係を検証することで出てきます。また得られたデータを数値化し,グラフで表して傾向を視覚化することで問いに答える証拠となります。そのときにどのグラフを使うとわかりやすいかを考え,棒グラフや折れ線グラフなど,グラフの種類と特徴をしっかり理解しておくことが大切だと説明されました。

どんなグラフがかけるかな?

 これまでの内容を踏まえて,グループに分かれて演習を行いました。限られた期間で問いを立て,答えることができそうなテーマを考え,それを検証するグラフを作るというもので,身近なところで考えて,どんなテーマができそうで,どんなデータが取れそうか。そして予想も含めてどんなグラフがかけそうか考えました。
 「スマホの使用時間と成績の関係」や「どの靴が一番速く走れるか」など,様々なテーマと,それを検証するグラフの予想を考え,発表をしました。
 最後に,西出先生はこの講義では次のことを伝えたかったとまとめました。
「問いに答えること」,「結果(証拠)が説得力を持つこと」,「着眼点が大切なこと」,「グラフで因果関係を視覚的に示すと説得力があること」。そして必ずしも答えは出なくてもいい,それまでに考えてきた時間や過程が重要で,自分の力になっていると教えていただきました。


           
               
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