社会調査の方法とデータの扱い方を学ぶ – 福井県立鯖江高等学校  

お知らせ詳細

2023.05.13

社会調査の方法とデータの扱い方を学ぶ

仁愛大学教員による特別講義②
~探究科2年生 探究の時間~
地域協働ニュース第4号

 5月11日(木)の探究科2年生の探究の時間は,前回に引き続き仁愛大学から講師をお招きして,特別講義を実施しました。今回は社会学を専門としている織田暁子准教授に「社会調査の方法とデータの扱い方について」というテーマで,主に文系分野の研究はどのように進めていけばよいのか,具体例などを挙げながら分かりやすく指導していただきました。

何度も問い直す

 まず,これから本格的に研究を進めていく生徒たちのために,文系分野の研究の進め方として,次の流れを説明されました。

1.リサーチクエスチョンをたてる
2.関連文献・先行研究を読む
3.調査計画をたてる
4.データを集めて検証する
5.結果をまとめる

 ここで重要なことは,課題を解決するための具体的なリサーチクエスチョンを立てることで,そのためにはどんなデータが必要か,そのデータを得るためには,どんな調査方法がよいかをしっかり考えることです。この作業が不十分のまま調査を行ってデータが得られても,そのデータに価値がなくなってしまいます。調査活動はなかなかやり直しがきかないので,十分な計画を立てたうえで,最後に行うものです。そのため,研究を進めるためには,進め方の1~3の行程を繰り返し,何度も問い直すことで,具体的なリサーチクエスチョンを立てることができ,計画的に研究を進めていくことができます。

この質問で大丈夫?

 次に,アンケート調査での注意点として,ワーディングの重要性を説明されました。アンケートの質問文は,受け取り方によって想像するものが違うとバラバラの回答になってしまうことや,分かりにくい質問が続くと,回答者は適当に答えるようになってしまうことがあり,正しいデータが得られなくなってしまいます。また,回答方法は自由回答より選択肢のほうがよく,選択肢の場合は,相互排他的かつ網羅的に作る必要があり,確実に回答できることが重要であると説明されました。そして,アンケートでよく出てくる悪い例を,具体的な例を挙げて,どこがおかしいかを生徒たちに考えさせながら解説をされました。
 これらの内容を踏まえて,織田先生が準備しておいた架空のアンケートをもとに,グループでその内容のおかしなところや,気になったところを探してみました。実際に回答してみることで,「これは答えられない」や「質問の意味がよく分からない」などが実感できたようで,自分たちがアンケートを作るときに,どのようなことに注意しなければいけないかをしっかりと考えることができる活動になりました。

これはやってはいけない!

 リサーチクエスチョンを明らかにするために必要なデータを考え,そのデータを得るための調査計画を立て,調査により得られたデータを分析する流れを,例を挙げて具体的に説明されました。そして最後に,調査方法や分析方法に「これぞという正解」はないが,この講義で示したように「これはやってはいけない」はあるので,先行研究を参考にして,よりよい調査ができるように何度も練り直すことが重要であると締めくくりました。


           
               
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