PTA役員会 2023.4.28

 PTA役員会が、4月28日(金)18:30より、本校上野が原会館にて行われました。令和4年度事業報告・決算報告・監査報告、令和5年度役員・実行委員の確認、令和5年度事業計画・予算案などについて、新旧役員の皆様に審議していただきました。5月13日(土)には、9:35から公開授業、10:20からPTA総会が上野が原会館において行われます。保護者の皆様のご来校をお待ちしております。

理系分野の研究方法を学ぶ

仁愛大学教員による特別講義①
 ~探究科2年生 探究の時間~
地域協働ニュース第3号

 探究科2年生では,本格的な探究活動のスタートとして,鯖江高校と連携している仁愛大学から今年も講師をお招きして,探究活動の方法について特別講義を実施しました。今回はその第1弾として4月27日(木),西出和彦教授より,「理系分野の研究方法 および データの扱い方について」というテーマで,生物学が専門で探究コーディネーターをされている立場から,具体的な研究方法を指導していただきました。

根拠に基づいて,問いに答える

 まず,自然科学分野での研究の構造について説明されました。「研究とは,問に答えること」であり,根拠に基づいて問いに答えることが重要です。調べ学習は,すでに分かっていること調べるだけですが,研究は,まだ誰も調べていないことに対して自分で問いを立てその根拠を示して,論理的に答えることです。そのために,次のような過程で研究を進めていきます。
「問いを立てる」→「調べる」 →「結果を整理して,改めて問を立てる」→「数値化して関係性を明らかにする」
このとき重要なことは,批判的な視点で考えることあり,より正しい判断をする必要があります。そして得られた結果が証拠となり,論理的に問いに答えることができ,人を説得することができるので,できるだけ多くの結果を集める必要があります。

因果関係を考える

 次に,オカダンゴムシに連続するT字路迷路を歩かせると,左右交互にまがって進む,交替性転向反応が生じるメカニズムについて,実験を交えて説明されました。このメカニズムはまだ因果関係が解明されていません。そのため,左右の足にかかる負荷の影響や,触覚・視覚によるものなど,様々な仮説がありますが,それらをいろいろな方法で検証し解明をしようとしています。実際に生徒がダンゴムシの行動を観察することで,すべてのダンゴムシが同じように交替性転向反応が起こるとは限らないことなどがわかり,このような場合のデータの扱い方をどうすればよいかを説明されました。
仮説とは予想と違い,実験により因果関係を検証することで出てきます。また得られたデータを数値化し,グラフで表して傾向を視覚化することで問いに答える証拠となります。そのときにどのグラフを使うとわかりやすいかを考え,棒グラフや折れ線グラフなど,グラフの種類と特徴をしっかり理解しておくことが大切だと説明されました。

どんなグラフがかけるかな?

 これまでの内容を踏まえて,グループに分かれて演習を行いました。限られた期間で問いを立て,答えることができそうなテーマを考え,それを検証するグラフを作るというもので,身近なところで考えて,どんなテーマができそうで,どんなデータが取れそうか。そして予想も含めてどんなグラフがかけそうか考えました。
 「スマホの使用時間と成績の関係」や「どの靴が一番速く走れるか」など,様々なテーマと,それを検証するグラフの予想を考え,発表をしました。
 最後に,西出先生はこの講義では次のことを伝えたかったとまとめました。
「問いに答えること」,「結果(証拠)が説得力を持つこと」,「着眼点が大切なこと」,「グラフで因果関係を視覚的に示すと説得力があること」。そして必ずしも答えは出なくてもいい,それまでに考えてきた時間や過程が重要で,自分の力になっていると教えていただきました。


SDGsってなぁに? いま私たちにできること!

さばえSDGs推進センター職員による特別講義
 ~普通科2年生・探究科1年生 総合的な探究の時間~
地域協働ニュース第3号

 4月26日(水),普通科2年生と探究科1年生の生徒を対象に,これから始まる本格的な探究活動に向けて,「SDGsってなぁに? いま私たちにできること!」というタイトルで,さばえSDGs推進センターの職員による特別講義を実施しました。今回は所長の関本光浩氏と,地域おこし協力隊の川口サマンサ氏にお越しいただき,SDGsとは何か,また鯖江市のSDGsの取組みについて説明していただきました。

SDGsは誰もが当事者!

 まず関本所長が,SDGsとは何かを具体的な事例を挙げながら説明していきました。SDGsとは「持続可能な開発目標」であり,すべての国,すべての人が行動に移さないとSDGsの目標は達成できないので,誰もが当事者であると協調されました。そしてSDGsの17の目標は「経済・社会・環境」や5つの「P」(People,Planet,Prosperity,Peace,Partnership)などの分類がありますが,どれもバランスよく発展させていこうというものです。日本人の私たちにとっては他人事のようである「貧困」問題も,「相対的貧困」は日本でも深刻な問題になっていることや,食べ残しなどによる「フードロス」の問題など,これらの問題はどれも私たちの日常生活に密接にかかわってくるものばかりです。私たち一人ひとりが将来を見据えて,これらの問題を「自分ごと」として捉えて,自ら行動することが大切だと説明されました。そして,この特別講義の内容をヒントにして,これからSDGsのことを勉強していってほしいと言われました。

鯖江市が取り組む「ジェンダー平等」

 次に川口サマンサ氏が,鯖江市のSDGsの取組みについて,説明しました。鯖江市は昔からメガネや繊維,漆器などの産業が盛んで,女性が活躍してきたまちであり,現在でもJK課をつくるなど,女性が活躍できるまちとなっており,鯖江市はSDGsの目標5「ジェンダー平等」を主軸として,それにかかわる様々なSDGsの活動を行っています。
 「ジェンダー平等」は世界中での課題であり,伝統的な社会構造,風習,教育の欠如など様々な原因でジェンダー平等を達成できた国はないのが現状です。そこでジェンダー平等とは「女性だけではなく,みんなのためのもの」「絶対的なものではなく,柔軟なもの」という考えを持って,国や地域,個人にあった「ジェンダー平等」の在り方を見つけてスタートするとよいと言われました。ジェンダー平等が進めば,様々な意見が反映され,ほかのものにもいい影響が与えられる。SDGsの目標は,すべて違うように見えて,実はすごくつながっているので,どれか一つの目標を切り口としてスタートすると,ほかの目標にもいい影響を与えるので,ジェンダー平等に限らず,どの目標からスタートしてもいいと生徒たちに伝えました。

「意識する」こと!

 最後にまとめとして,「1人の100歩より,100人の1歩」を例に,それぞれ趣味や得意分野が違うので,自分が興味のある目標を切り口に取り組んでいき,みんなが力を合わせて,できることからやっていくことが大切である。また,「意識する」ことからスタートし,
「意識する」→「知る」→「理解する」→「行動する」→「新しい日常になる」→「意識する」・・・・,
これを繰り返すことで目標が達成できるようになる。そのためには,自分の興味のあることに高くアンテナを張って,情報を収集し,視野を広げて,自分にできることを見つけるといいと教えていただきました。